第25回 全日本マウンテンバイク選手権大会 マスタークラス レースレポート

八幡浜のレースを終え、一週間という短期間のスパンを置いて、今年一番の目標とするレース、全日本選手権がやって来た。

惨敗だった八幡浜。その間の一週間という短い時間では、やれる事なんてたかが知れている。
疲労を重ねない為にはトレーニングではなく、調整走程度にしておいた方が無難かもしれない。
しかし、今の自分には「これだけやった」という事実が重要。
その為に週の半ばまでは通勤の距離を利用して、1時間30分、とにかく常に追い込むトレーニングを繰り返した。

レース以上の負荷を身体に染み付かせ、憶え込ませる。
レース中に「楽」をする為に、出来る限りの「苦」を経験して、レース当日を待った。



レース会場は昨年と同じく、富士見パノラマスキー場。
基本的なコースレイアウトは同じだが、所々に手が加わり「楽しいコース」に変わっていた。

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Photo By δ

しかし、「楽しいコース」なのはドライコンディションの時。
雨が降ればかなり難易度の高いコースになる事が予想できた。

天気予報は「雨」。

ドライコンディションで試走した時の良いイメージを崩さないよう、試走は1周のみとし、無駄に体力を削らないようにした。
本来ならばしっかりと何周も試走を行い、完全にコースを理解すべきだが、加齢による回復力の低下を無視してはいけない。

何度も何度も失敗してきて付けた知恵。
準備不足は、今まで培った知恵や経験を総動員してカバーする。



レース当日。
6時に目覚めると、外は晴れ。
天気予報は終日、晴れ。

「イケるかもしれない」

会場で会う人、とても大勢の方から「連覇」という言葉をいただいた。
とても嬉しいし、照れくさい反面、その為の準備が万全でない自分にとっては、少なからず重たい言葉だったのも事実。
だから、「連覇」と言われる度に、「絶対ムリ!」と返してきた。事実、自分でもそう思っていた。

「勝てるかもしれない」

朝、起きた時の天気を見て、初めてそう感じた。



レース直前まで、チームのみんなと一緒に過ごす。
自分がスポーツバイシクルを始めるきっかけを作ってくれた井上店長も応援に来てくれた。

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Photo By Itomemedia

そんなみんなの背中を押されて、スタートラインに立った。

相変わらず、スタートダッシュは遅く、5番手まで落ちる。

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Photo By テンチョー井上

最初の登りで一番危険だと思っていた、北島選手が飛び出す。
後輪が滑らないよう、芝の路面に入るのを待つ。
インターバルにならないよう気をつけながら、90%の力でダンシングする。
背中の意識が消えた。

恐ろしく速い北島選手の下り。絶対に焦らない。
離れても良いからミスだけ絶対しないように注意して下りきり、登りへ。

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Photo By テンチョー井上

さぁ、はじめよう。ここでレースを決めよう。

一気に上げず、じわじわとシッティングで詰める。
一緒に来られるのが一番危険な選手だからこそ、一気に仕留める。

前へ出た瞬間、100%の力でペダルを踏む。
これでムリなら、今日はムリって事だ。

背中がすっと軽くなった。後ろは見ない。絶対見ない。弱みを見せたら終わる。自分が終わる。

最後まで登り切り、交差する所で差を確認する。
予想以上に離れた。今日、登りは大丈夫だ。



さぁ、一人になった。
ここからどうやって集中するか。

ふっと気を緩めると入り込んでくる雑念。
「去年とは違うんだ」、「練習してないから直ぐに脚が攣るって」、「3周も身体が持つわけが無いよ」、「ムリだ、ムリムリ」・・・

全てを無視する為、自分の前に誰かを置いた。
時には筧五郎、時には沢田時・・・色んな背中を思い浮かべた。

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Photo By テンチョー井上

下りはとにかく慎重に。かなり遅くても良い。
登れない所はバイクを降りた。不恰好でも勝ちたい。

去年とは違う。追い込み過ぎたらどこかで壊れる確信があった。
だから、時間を有効に使った。

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Photo By Itomemedia

もっと速く走れたかもしれない。
ペースを調整しながら、追い込むべき場所、休む場所、手を抜く場所を考えながら走った。
自分の中では「面白く無い走り」だった。タイムがそれを物語っている。
けど、それでも勝ちたいと思った。



ゴールした時に感じた安堵感。
去年、勝利を勝ち取った達成感とは全く違う感情が、そこにあった。

もっと前を向いて居たい。
もっともっと強くなりたい。

大好きな仕事と大好きなレースの両立。
走ることを許される素晴らしく嬉しい環境で、自分に出来ること、自分が発信できることをもっともっと考えて、より成長して行きたいと思った。

そんな全日本マスタークラス、最後の挑戦だった。

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コメント(3)

最後の挑戦ってどういう事ですか?

来年も有りますよ。今度こそ絶対負けない(笑)

おめでとうございます!
レースを冷静に見つめ、分析しながら戦うトモタカさん、、、かっこいい!

やれやれ〜
勝ったし、また来年ウェポンを用意せにゃイカンがな〜(笑)

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