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シマノのトップグレード新型デュラエース R9100シリーズ

BY HISASHI INOUE

_r040110シマノセールスさんのご招待でニューデュラエースのローンチキャンプに行ってまいりました。国内でいち早くR9100シリーズをアッセンブルし習熟するとともに、有名なしまなみ海道を35kmほど走りつつフィーリングを確かめる趣向で、国内でも選ばれた販売店が参加できるイベントです。

R9100。先代の9000シリーズがシルバーとグレーのバイカラーだったのに対し、一転して限りなくブラックに近く、かつブルーグレーのカラーも含まれた深みある濃いカラーに仕上げられ、バイクに搭載した途端、端正なイメージと頑強なイメージの両方を感じさせる仕上がりとなっています。
しまなみ海道を実際にライドして神経を研ぎ澄ませながらインプレッション。

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シフトフィールは確実に正常進化しています。小さな力で軽くシフト。先代よりさらにライトアクションなフィール。

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ホントにワイヤー式なの??? 軽い!

Di2のストレスフリーなイメージに近くなっています。特にフロントディレイラーの感触はかなりの進化です。またSTIレバーの形状はさらに多様な握り方に対応しています。

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力がかかりやすいようにレバー上部に隆起を持たせてあり自然なフィーリングで指をかけられるようになっています。手首をハンドル上部にかける(アンドレア・タフィー選手を思い出します)走法で有効かと思います。

フーデット部分のラバーのカバーもダイヤ目のような模様が刻まれ手のひらに吸い付く感じ。握りこんでもパカパカと隙間が開くこともなく工作精度の高さをひたすらに感じる部分です。素晴らしい。

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つぎはコンポーネントの顔とも言えるクランク。先代よりボリュームも大きくなっていますが私のレベルではとにかく滑らかとしか感じられなかった・・・。(しょぼくてすみません)トップライダーだとその違いを感じられるんでしょうね。でもとにかく間違いなくクールで力強さを感じるすごいデザインです。

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リアディレイラーはシマノのマウンテンバイク用コンポーネントに多用されているシャドウシステムが採用され、さまざまなフレームのディレイラーハンガーの形状に対応するようになっているとともに、横への飛び出しを大幅に低減。落車などでディレイラーを打ち付けてもレースに回帰するチャンスが増えることでしょう。完全にプロユースを意識したものです。さらにシングルテンションにしたことでチェーンステーとの干渉も防止し、さらにチェーンの暴れやシフト時の追従性を高めています。シフト時の違いも先代がかなり高いレベルで完成されていたので、レバーアクションの軽さ意外は変速スピードなどは大きくは違いませんが、ディレイラーの形状が大きく変わっているので、ワークスタンドの上でその動きをまじまじと眺めてしまいました。形状については好みの分かれる可能性がありますが、これがスタンダードになったときには違和感はなくなるでしょうね。

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フロントディレイラーは伝統的なボトム引きではあるのですが、ワイヤー式の取り回しなどが一変。今まで見たことのない形状になりました。そしてそのフィールは異次元の軽さ。羽の部分のプレートの美しさもさることながらメカメカしい部分はブラックフィニッシュでくっきりとした印象。はっきりいってため息が出るレベルです。

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ブレーキアーチは代々コントロール性が向上してきていましたが、サイドプルブレーキの完成形といっても過言ではないでしょう。リリースレバーの形状が独特なものになっています。

予想どおりの正常進化を感じさせる仕上がりのR9100シリーズですが、アッセンブルは先代より独特のものになっています。とりわけディレイラー周りは習熟が必要。フロントディレイラーは作動ストロークの規制とワイヤーテンションをそれぞれ独立させているのが特徴で、素晴らしい機構になっていますがショップの作業現場ではテックスタッフに時間をかけて専門的に習熟させる必要があるなと感じました。規制ボルトをやテンションボルトも少しの回転でパンタグラフやカムが微妙に動くのがわかるレベル・・・。リアディレイラーもシャドウシステムが使われており、アウターも専用品が奢られ切断方向や最適な形状を間違うとうまく作動しなくなってしまいます。
さらにはマウンテンバイクのコンポーネントの特徴を取り入れているので、従来のロードコンポーネントの技術そのままでは足りないのです。デュラエースの工作精度の高さは他のコンポとはレベルが違うので、ホームメカニックでチェーン落ちをしてしまい、フレームに傷を入れてしまう方が増えておりますが、このコンポはお任せいただいた方が良いかと・・・。その代わりどんなシチュエーションでも確実に作動してくれるでしょう。

アッセンブルは慣れが必要ですが、走行中はまさにシマノ最大の特徴であるストレスフリーを追求したモデルです。なによりバイクが引き締まって見えるカッコ良さ。

無理してでも乗りたくなる最高のコンポーネントであることは間違いありません。

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HISASHI INOUE
井上 寿

幼少の頃より父親の仕事の関係で自転車の組み立てを行う。高校生の頃よりツーリングにハマり、大学生からトライアスロンに目覚め競技を始める。
電機メーカーで12年勤務したあと2001年、念願のスポーツバイクショップを開店(大津市:6坪ほどの小さな店舗だった)。
ロードバイク、マウンテンバイク、トラック競技が好きで、滋賀県の国体チームのメカニックを6年務めた。
2008年からはJALパックのハワイツアーのメカニックを務めている。
2011年現在の草津市に移転拡大。2013年に京都市左京区に「ストラーダバイシクルズ京都」をオープン。
それを機に若い頃に熱中していたトライアスロンに再チャレンジ。2015年に29年ぶりにアイアンマンレースを完走。
以来、遅いながらもトライアスロンを楽しんでいる。また写真が好きで、自転車と写真を組み合わせた「フォト&ライド」を開催。
仕事を忘れてお客様と一緒に遊んでいる。