UCIルールの限界を攻めたスーパーエアロ!FACTOR ONE
昨年12月に発表され、その型破りな造形が話題となったスーパーエアロロードバイク「ONE」
見たこともない異形な見た目でありながら、レースの世界で順守しなければならないUCI(国際自転車競技連合)ルールには完全準拠。FACTORのこの10年の集大成といえる渾身のピュアエアロロードバイクをご紹介いたします。
FACTOR ONE 52サイズ Silver Stoneカラー
フレームセット1,155,000円 / 完成車1,815,000円~4,180,000円
業界全体で見ると、近年は全てのステージを一台でこなすオールラウンダーへの回帰が進んでいますが、FACTORが目指したのはUCI規定を完全に満たす純粋な「最速」のバイク。その狂気じみたスピードへの探求心が、既存のどのロードバイクにもない唯一無二の存在を創り上げました。
空力への影響が大きいフロントセクションの造形は、圧巻。主にTTバイクで採用されるバヨネットフォーク(ヒンジ式フォーク)により、極限まで前後方向へ拡張されたチューブ断面。

その薄さもまた異次元で、まるでトラックバイクのよう。そしてMTBの3インチタイヤすら余裕で飲み込むほどの超ワイドスタンスフォーク(内-内114mm)はUCI規定上限(内-内115mm)のマイナス1mmに設定。UCIに確認しながら設計を煮詰めています。
鋭くシャープなヘッドチューブ、フォークブレード、ハンドル。薄さ・前後幅が相まって究極のスピードに貢献します。そして、これらは単に薄いだけではありません。

特徴的なフロントエンドの造形。空気を切り裂くだけでなく、次に空気がどこへ行くかを指示する役割を持ち、システム全体でスムーズな空気の流れを確保。競合他社のエアロロードが失速する15度以上のヨー角(横風)でも優位性を維持することが可能だそうです。
他のバイクではフォークよりもスタンスが広い、ライダーの脚に剥き出しの乱流が当たり大きな抵抗を生みます。ONEでは乱流がライダーの脚に当たる前に超ワイドフォークが気流をコントロールするため、脚周りで発生する抵抗が最小限に。シートステーもかなりワイドになっており、ホイール・タイヤの回転で発生する空気抵抗をフレームから切り離します。
シートポストは0mm、30mmオフセットの2パターンから選択。最も厚い部分で14mmという極薄です。OSTRO VAM2.0やSuperSix EVOの15mmを下回る薄さかつ、より深い前後幅を備えています。バッテリーはOSTRO VAM2.0と同様にBB下から挿入され、低重心に貢献。
TTバイクのようにカットアウトされたシートチューブ。
進行方向に対してもタイヤに沿って抉られた形状になっており、大変手の込んだ成型がなされています。
ハンドルの高さはハンドルのライズ2種(Low/High)とスペーサーで4段階(0/5/10/15mm)の計8段階の調整が可能。ハンドルリーチは90~130mm(OSTRO換算110~150mm)の5段階を設定。計8パターンのハンドルサイズが用意されています。コラムカットしなくて良いのは、メカニック目線ではとても助かります(笑)
ハンドル幅は「上380mm/下410mm」の一種。2026年のUCI規定では「レバー先端間280mm以上」「レバー角度は下ハンドルから10°以内」という2つの要件を満たす必要があります。SHIMANOのSTIレバーを上限の10°内向きで取り付けした場合、もう一つの規定であるレバーの先端280mm以上を程よく満たして取り付け可能です。目指したのは「現行UCIルール内最速なので、これ以下を設定していません。
サイズは同社のOSTRO VAM2.0を基準に算出が可能です。ただし、ONEではエアロポジションを長時間維持しやすく、前傾姿勢でも力強いペダリングが可能な「ショートクランク」と「前乗り」を推奨がされています。高重心・フロント荷重になる前乗りでも安全なジオメトリーと、フロント剛性、重量バランスなどがそれを可能にしています。
例として、私スタッフ田中は、165mmのショートクランクを初めて導入し、OSTRO VAM2.0からハンドルを前方へ20mm、サドル位置前方へ30mm、落差10mm増のやや前乗りにしました。ポジション変更には正直勇気が要ります。大幅な変更を受け入れようと思ったその理由は、FACTORがジオメトリーとバイク製造技術において、最も信頼できるバイクメーカーの一つだからです。
OSTRO VAM2.0 ジオメトリー
まず、FACTORは初代OSTRO VAM以降、妥協なく全サイズで一貫したハンドリング(トレイル58mm前後=古くからのロードバイクのハンドリングの理想値)を実現しており、世界最高のジオメトリーを全てのライダーに提供するという強い意志と情熱のある数少ないメーカーです。
ジオメトリーの重要性を理解しているからこそ金型製作のコストを惜しまず、O2VAMやOSTRO VAM2.0では4つのフォークオフセットをフレームのヘッドチューブ角に合わせて用意しています。初代OSTROの登場時から感じていましたが、台湾の自社工場だからこそ可能な妥協を廃した金型造型とカーボンレイアップ、「究極」を追求する姿勢がFACTORにはあります。
One ジオメトリー
そのFACTORがそうすべきと言うなら、まずは信じてチャレンジしてみようと思いました。純粋なエアロ性能と革新的なライドポジションの両方があってこそのFACTORが提唱する「最速」ですから、それを体験しておかないわけにはいかないでしょう。(下りが苦手なので、迷いがなかったわけではありませんが・・・)
実際組み上げて乗ってみたところ、ショートクランクによる深いエアロフォームとその維持のしやすさは目から鱗が落ちるようでした。下りやコーナーの不安感は想像よりも少なく、見た目からは想像できない自然なハンドリング。乗り心地は硬めではあるのですが、チューブレスなら不快なほどではないです。
そして、当然ですが…めちゃくちゃ速い。後日、詳細なインプレを書きますが、速度の伸びと維持のしやすさはロードでは未体験の領域。ビワイチや鈴鹿サーキットを走るのが楽しみで仕方ありません。
個人的には軽量化を追求するよりエアロなパーツで固めるのが正解かなと思い、55/40TのチェーンリングとOVERFASTのエアロカーボンクランク、SIGEYI AXOパワーメーター(旧)を組み合わせました。チェーンリングもパワーメーターも肉抜きのないものをあえてチョイスしています。
FACTORといえば、パートナーブランドである「CeramicSpeed」。完成車でご購入の場合、OSPW RS ALPHA DISCがお得にご購入可能です。BBも新型が付属していました。
ホイールは最近多くの方にご注文いただいている、YOELEOフラッグシップモデル「QianKun CS60」です。内23mm/外32mmワイドリム、60mmハイトながら重量は1285g。駆動剛性と重量、回転抵抗の少なさはクラス最高レベル。タイヤは重量、転がり、グリップ、パンク耐性の全てが高水準なTUFO Comtura Prima TLR(28cで240g)を使用。
参考までに、写真の状態で重量は7.55kg(UCI基準の計量方法)
ペダル、ケージ、サイコンマウントなど省いた、いわゆる完成車重量なら「7.2kg」以下といったところでしょう。軽量に仕上げるなら、オニキスブラックを選択し、純正プーリー、超軽量クランクにしてフロントシングル化を行えば6.8kgまでは達成できると思います。
※本来ダウンチューブ、シートチューブに沿う形状の専用ボトルケージが付属しますが、諸事情により、今回は手持ちのボトルケージで撮影しております。
軽量化、エアロ化、ポジションのご相談などお気軽にどうぞ。
ルールの限界まで攻めた空力と革新的ジオメトリーが導く「最速」
競合が真似できない、エンジニアリングの極致がここにあります。


































