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DOGMAらしさを貫いた”正常進化” ~ PINARELLO DOGMA F12 ~

BY HIROKI TANAKA

イタリアンバイクブランドの雄、ピナレロのトップモデルとして君臨する「DOGMA」が更に進化して登場しました。その名は「DOGMA F12」

今回、ピナレロジャパン様のご厚意により、全国に先駆けてDOGMA F12を期間限定で店頭展示させていただく機会を得ました。バイクそのものはサンプル品なので実際にテストライドすることは出来ないのですが、それでも現車を目の前にしての細部のチェックが可能ということで写真撮影をしながら舐めるように確認しました。

先代のDOGMA F10が登場したのが2017年。DOGMA F10が登場した時点で「既に完成形であり、これ以上の進化は難しいのでは?」と感じていたのですが、流石はピナレロ。見る者すべてを魅了する美しさと力強さを感じさせる一台に仕上げて来ました。

ご承知の通り、「F12」の”12”とはバージョン番号。先代のF10の次はF11となるように思われますが、F11はいわゆる「F10 X-LIGHT」を示しますので、「DOGMA F12」とは完全なる”フルモデルチェンジ”と言ったところ。

DOGMA F10の登場から考えると比較的短いスパンで登場した印象が強いDOGMA F12ですが、そんな期間で作り上げたとは思えないほど、ブラッシュアップされた内容に驚かされます。特にピナレロの最大の特徴であるONDAフォーク&シートステーは洗練されたイメージ。DOGMA F12になってさらにマッシブ形状に進化。まるで獣の脚をイメージさせますね。他にも上下同サイズのヘッドベアリング、ハンドル周りなど全てにおいて進化しています。

そのなかでも特に一見してすぐにわかるのはハンドル周り。
新型のTALONハンドルシステムにより、完全なるワイヤー内蔵を実現しました。ハンドルの内部を通るワイヤーはそのままフレーム前面のヘッド部分を通過し、フレームの内部へ。
その為、ヘッド部分は大径化され、さらにマッシブなイメージに。

付属するパーツにより、通常のハンドル&ステムも使用する事が可能ですが、正直なところ「DOGMA F12ならば、TALONは必須!」と感じさせるほどの完成度です。ワイヤールーティーンも完全に内蔵する形になりさらに統一感を醸し出すことができます。この辺りが機能とデザインを両立させるイタリアンブランドの真骨頂かと。

フレーム全体の造形は、さらに非対称、アシンメトリが進み、ひと目でわかるほどのレベルへ。
ともすれば”やり過ぎ”と感じてしまうケースもありますが、アシンメトリテクノロジーを生み出したピナレロらしく、絶妙の加減は流石、本家ピナレロと言ったところでしょう。

全体的にエッジが効いたデザインになったDOGMA F12。トップチューブのフレーム造形はひと目見るだけで「あ、新しいDOGMAだ」とわかるほど。ONDAフォークのくびれともマッチしていますね。

近年、バイクのエアロ化が進み、どのメーカーのバイクフレームでも”どこかで見たような・・・”という既視感を感じる事がありましたが、DOGMAはどこまでもDOGMAらしさを貫いています。ペイントが無くてもDOGMAとわかる強烈な個性&アイデンティティーです。

ちなみに弊社オーナーの井上はDOGMA F10 DISKに乗っておりますが、先月にいち早くDOGMA F12の内覧会で見たファーストインプレッションは、「ランボルギーニのアヴェンタドールだ!」でした。DOGMA F10が滑らかなシェイプを特徴としていましたが、DOGMA F12は逆にエッジが効いたデザイン。尖ったフォルムがそう見えたらしいです。アヴェンタドール・・・確かにそう見えてきました!

ちなみにオーナー井上のDOGMA F10 DISKのインプレッションですが、「アメリカンブランドのエッジの効いたフィーリングとはまた違った、上質で角の取れた感覚、ヘタレな私でも後ろから押してくれるようなポジティブなフィールでどんどん進んでいける感じ、とにかく自転車を降りてもすぐに乗りたくなるような得難い感じがDOGMA F10Diskにはある。あと何より自転車を磨いていたい。目前に置いてワインが飲める」・・・と言っていました。後半はちょっと呆れてしまいますが、でも「サイクリストあるある」で私も共感できます。実はオーナー井上は先月、すでに内覧会でDOGMA F12を見ていました。その時にピナレロジャパンの方に効いたらしいのですが、「マッシブさは増しているものの、乗りごこちはさらに上質になっている」というお話だったそうです。DOGMA F10でもこれだけ良いのに・・・一体どこまで行ってしまうんでしょうか?

さてさて引き続きバイクを見ていきましょう。大径化が進むボトムベアリング部はこだわりのイタリアン規格を踏襲。最新性能と信頼性を高い次元で満たすピナレロのこだわりがこんな部分にも感じられますね。

性能に関係なくてもBBシェルにもこんな意匠を施すあたり、やはりイタリアンブランド。

そして何よりもトピックスと言える”ディスクブレーキモデルの同時開発”。ディスクブレーキサイドのフォルムとカーボンレイアップをさらに進化させ、ブレーキング時のヨレを最小限に抑えてあるそうです。体重80kgを超える大柄な弊社オーナー井上でも問題なさそうですね!(DOGMA F10 DISKでも最高にブレーキフィールは良いそうですが)

これからの主流と言えるロードディスクモデルが充実した事はもちろんですが、軽量でかつトラディショナルなフォルムを実現するリムブレーキモデルも手を抜いていません。クリス・フルーム率いるTEAM INEOSでは、レース時でのホイール交換の時間を考慮してリムブレーキタイプを使用しているそうです。リムブレーキタイプは更なる高いブレーキング性能を発揮できるよう、ダイレクトマウントを採用。完全にディスクモデルとリムモデルの設計を分ける事で、全く違うバイクとして生み出す。こんなところにも一切手を抜く事の無い、ピナレロのこだわりを感じさせてくれます。

個人的にDOGMA F8を所有する私、スタッフ田中、DOGMA F12が発表された時は「まぁ、デザインが変わっただけだろうし・・・」と正直、思っていました。が、現物を見た瞬間、心が揺らぎました。シンプルに「格好が良い・・・」と。そういえば先ほどより横でオーナー井上も買い替え検討を進めております(笑)

正直、F8に満足していたのですが・・・この美しさを目の当たりにしてからは、どのカラーにしようかと日々、悩んでおります。。。横でオーナー井上は「VERTIGO BLUEは俺が買うから!!」と宣言しております(苦笑)

走りの力強さはもちろん、更なる美しさを手に入れた、DOGMAらしさを貫いた”正常進化”、DOGMA F12。

本当が持つ凄み、それを所有する悦びを感じさせる、本当の意味での”セレブリティモデル”
誰よりも華麗に誰よりも美しさを求める方にお薦めしたい逸品ではないでしょうか。

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HIROKI TANAKA
田中 宏樹

明るく朗らかな性格で常に元気に仕事をしているフロアスタッフ。
各メーカーのジオメトリーやサイズ、規格などに精通しており、それを諳んじるぐらいに記憶している。
元陸上部だったこともあり、高い心肺機能を有していることから、ヒルクライムのホビーレースで上位に食い込む実力がある。
とにかく時間があれば自転車に乗っている自称・他称「自転車バカ」。
イベントでは初めての方が安心して乗り出すための「デビューライド」や「モーニングライド」、
また平日休日問わずに行われる「トレーニングライド」など多岐にわたる。