【レース編】SDA王滝 2019 – グラベル 42kmの部 – スタッフ山本 優勝![スタッフ山本レポート]
オフロードエンデュランスレースのアイコンとも言える「セルフディスカバリーアドベンチャー・イン・王滝(SDA王滝)」
そんなSDA王滝に新しく生まれた「グラベルロードの部」で、当店スタッフの山本が初挑戦で優勝しました!
今回はそのレースの模様をスタッフ山本がレポート致します。
全く初めてのチャレンジ、そんなレースの展開でどのようなストーリーがあったのでしょうか?ぜひ、ご一読ください。
エンデュランスレースの代名詞とも言える「セルフディスカバリーアドベンチャー・イン・王滝」
それに向けたトレーニングなどの準備については、前回の記事で触れましたが、その成果をいよいよ出す本番がやってきました。
目標となるレースに対し、真剣にトレーニングを積み重ねれば積み重ねるほど、レース本番に対する恐怖心や不安感は大きく、前日からメンタルはナーバスな状態になってしまいます。
レース前日の受付、競技説明会でも他の選手が強く見えて仕方がない・・・
「トレーニングしたけど、結局、自分の力なんて大したことないんじゃないか・・・」
「機材は完璧だけど、他の選手も気合入れてきてるし・・・大丈夫かな・・・」
相変わらず、チキンハートな自分にあきれ返りますが、そんな気持ちと裏腹に天気は晴天、見事な秋晴れ。
雨レースがとにかく苦手な自分にとって、これ以上無いコンディションに、萎えそうなココロを奮い立たせ、20時には就寝。あとは目が覚めたら、決めた通りのルーティンでスタートラインに立って、自分の力を出し切る事だけです。ああ、けど・・・不安・・・
レース当日は4時起床。年齢とともに朝が早いのが得意になってきているような・・・
なので、意外と寝起きはスッキリ。本気レースの恒例となった「朝イチのUFO(カップ焼きそばね)」を寝起きで食し、会場まで30分ほどかけてチームカーで移動。ワクワクというよりも「到着したら補給食作って、バイクの前輪着けて空気入れて・・・」とルーティンの事で頭がいっぱい。
会場に到着して駐車場に到着したら、頭の中にあるルーティンを一つひとつこなしていきます。特に今回は「何を持って行って、何を置いていく」かを意識して行動します。ここで「忘れた!」はメンタル面にモロに影響しますので、予め1週間前から予定していた通りの準備を粛々と済ませ、これまた予定していた通り、招集1時間30分前にスタート位置へ移動開始。
42kmの部はスタート位置まで11kmほど離れた場所にあるため、この移動が必要なんですが、これが曲者。
道に迷わないように、遅くなりすぎないように、脚に負荷をかけすぎないように。あらゆる細心の注意を払って移動します。
結局、1回、道を迷って2kmほど遠回りしましたが、どうにかスタート地点へ。すでにバイクが並んでいますが、意外と前の方に並べることができました。ホッ。
42kmとは言え、スタート直後の位置取りで脚を使うのは避けたいところ。なので、一番の懸念だったのはこのスタート位置なのですが、どうやらグラベルロードの部は前に一人だけみたい。
とは言え、後方すぐには関西シクロの猛者達が虎視眈々と狙っています。うーん、とにかく後は力を出し切るのみ!
120km、100kmの部が通過するのを待ち、8時ちょうどにレースはスタート。
今回はローリングスタートではなく、いきなりリアルスタートになるので、周りのペースが速い。しかし、いかんせん先は長いので、とりあえず自分はポジションキープしつつ、少しずつ前の方へ。
スタートして直後は舗装路の上りが5kmほど続く。さすがはグラベル”ロード”というだけあって、この区間は明らかにMTBよりもペースが速い。普通に脚を回しているだけなのに、先頭まで出ちゃう。先頭に出るとどうしても必然的にペースを上げる役目になってしまうので、いったん、後ろに下がるとグラベルロードの部の藤井さんと鵜飼さんが飛び出す。
一気に10mほどの間隔が空くがとりあえず静観し、心拍とギアを上げすぎないようにして、じんわりと距離を詰める。じわじわと距離が詰まり、ここでちょっと脚を見るためにアタック。
後ろを見たら”負け”なので、ところどころあるミラーで後方を確認。MTBの猛者達が結構食いついてきているのを確認して、アタックいったん終了。コンディションは良いみたい。心拍も脚も余裕がある。
さて、いったん、集団も落ち着いたところで、やっとダートがスタート。42kmのコースレイアウトによると、まずはここから500mほどダートを上る。この上りがキーになる。
「決めた、ここで一気に行く」
ダートに入った瞬間、一気に加速。グラベルの選手を抜き、MTBのトップと並走して走る。
軽い分、やっぱりグラベルロードは上りだとMTBについていける。MTBのトップとペースを合わせて一緒に走るが、あくまでも狙うのはグラベルのトップ。あくまでもMTBのトップライダーは指標として、自分がオーバーヒートしないように冷静に淡々と粛々と走る。
しかし、TOPSTONE、上りが速い。リアサスが後ろから蹴り上げてくれるみたいな感じで進めてくれる。
斜度はいつもの練習コースの方がキツく、懸念に思っていたギア比も全く問題なし。下りではさすがにフロントサスが無いのでスピードが落ちるがコンサバティブなペースでラインをしっかり狙えば問題なし。ここまでは予定通り。順調。
王滝に出たことのある人からとにかく言われたのが「パンク、気を付けてね~」という言葉。
それを想定して、かなり岩場のガレた場所でトレーニングを重ねてきたが、王滝はそれ以上でした。
一箇所だけで見たらそんなに岩もガレ場も大したことが無いんですが、これが延々続くとは・・・
そんな時、リアから「プシュ」というパンクした時の独特の音が聞こえたような?
しばらく走ってみても明らかな空気の抜けは無いみたい。「直前にシーラントを追加してきたから、それが防いでくれたはず・・・」と思い込ませて走るが、どうもリアがリム打ちしているような”錯覚”に陥る。これが精神的にキビしい・・・
ガレていない場所でサドルにお尻を叩きつけるとリム打ちしている感覚は無い。止まって確認するのも無駄なので、このまま進むが、必然的にリアの抜重を今まで以上に意識しないといけないので、上りで岩を越える時はすべて腰を浮かす。これも肉体的にキツい・・・これが王滝か・・・
こんな事を繰り返しつつ、最初のピーク標高1600m付近まで到着。この時点で20km経過。
「こんな精神状態で残り20kmか・・・」と思いながら下りに入り、所々で後ろの距離を確認。
先行するMTB2名のみで他のライダーは姿が見えない。ペースが遅い下りでもそんなに簡単に後ろが近付けるほどの距離ではないくらいだ。
ここで油断したのがマズかった。フロントがハジかれたと思ったら頭から路面にダイブ!
左脚、左腕、左わき腹を酷く打ち付けたが、幸い、骨折などはなさそう。すぐに立ち上がってバイクに乗るとバイクも無傷。痛みはあるが「この痛みで上りの辛さが紛れる」とポジティブに考えつつ、27km地点のCP1を通過。
あとは30kmにある2つの上りをこなせば良いだけ。と、ここで旧知の友人イワシマンとなぜか遭遇。友人のカメラマンとしてコースで応援しているらしくパシャと一枚。
「グラベル、速いから誰かと思った~」と褒めてもらってイイ気になったら、気がスッと楽になった。「そうだ、あと合計で200mほど登ったら終わりやん。いつものトレーニングなら余裕やん」
再び冷静になって、後ろとの距離を計算しつつ、水分とカロリーをしっかり補給。暑さ対策の為にかけ水として用意していたボトルの水を両足、腰、頭から掛けて気合を入れなおして、二つの上りを淡々上る。
精神衛生上、ものすごく助かったコースマップをみると、残り5kmほどの下りでフィニッシュ。後ろとどれだけ離れているかわからないので、あまりゆっくり下るのもマズいけど、パンクするのはもっとマズい。けど、
「これは、勝った」
と思った瞬間。「バシュッ!!!」っとリアが完全にリム打ち。一瞬でパンク。
「ああ、これは本格的にまずい」と思い、そのまま惰性で下るが、悩むのは一瞬。このまま行こう。「ホイールが壊れても良いから、ゴールまでもってくれ」という思いだけ。
リアなのでどうにかコントロールはできるがガンガンに岩がリムに突き刺さるイヤな感触がペダルから伝わってくる。
残り3km。長い。後ろをチラ見するが気配はない。頼む壊れるな。
途中で同じくパンクしているMTBの選手が修理をしている。うーん、自分も治すべきか?
フロントもパンクしたら”終わり”なので、とにかく守りに入って、ホイールが大破しない事だけを祈りながら走る。
「残り1km」の看板。マップ上では下りセクションは終了。「ああ、勝った」と思い、後ろを確認しながら、勝利を噛みしめながらゴール。
しようと思ったら、直前に2名のライダーが!思わず「こりゃいかん!」と思い、ゴールスプリントをしたら、MTBの選手でした。ああ、ゴールのポーズ決めたかったのにぃ・・・
見事にゴールまでもってくれたTOPSTONE。バイクも痛かっただろうけど、その分、本当に”愛車”としてより一層、愛情が芽生えてきました。
結果、グラベルロードの部、優勝。
タイムは2時間15分。
もともと想定していたタイムが2時間30分くらいだと考えていたので、まずまずのタイム。
MTBの部でも6位(だったかな?)くらいの位置でゴールできたのもナカナカでした。
表彰式は関西シクロな感じで、明らかに他カテゴリーと比べるとにぎやかな感じ(笑)
42kmという短い距離ではありましたが、コケたりパンクしたりとSDA王滝を存分に感じられたレースでした。
さぁ、次の目標は・・・100kmになるのかな?まずは次の春までゆっくり考えましょう。お疲れ様!俺&TOPSTONE!