新しいエアロの世界を開く「6」の秘密。~ Cannondale SYSTEM SIX ~
「SYSTEM SIX」
古くからのキャノンデールフリークにはまず懐かしさを感じさせるネーミングで登場した、キャノンデールが満を持して発表するエアロロードバイクにしっかりと乗り込んできました。
SYSTEM SIX(システムシックス)の名が示す「6」という数字。
アルミからカーボンへと自転車の素材が変革していった2000年初頭に”アルミのキャノンデール”が生み出したのが「フレーム前面をカーボン、後面をアルミ」で構成された「SYSTEM SIX」でした。
どこのメーカーも快適性を上げる為、「リアカーボンバック」と称してフレームの後ろ三角にカーボンを採用するのに対し、全く真逆のコンセプトを打ち出したSYSTEM SIX。
「あいかわらず、キャノンデールはオモシロイことをするなぁ」と関心したのを覚えています。
さて、そんな革新的な”キャノンデールらしさ”を感じさせる先代のSYSTEM SIXの「SIX」とはカーボンの元素番号「6」を示しているのは有名な話。では、新しく登場したSYSTEM SIXの「SIX」とは何なのでしょうか?
そう、その「6」こそ、新たに「今の段階で」キャノンデールが打ち出したエアロバイクを紐解くキーワードでした。
まず、自転車を「速く」「楽に」走らせる為の「抵抗」となるもの。それは・・・
空気抵抗
登坂抵抗
駆動抵抗
ベアリング抵抗
タイヤの転がり抵抗
加速抵抗
の「6」つであり、これらを科学的にアプローチした結果、見えてきたのが「6」%の斜度との事。いろいろな検証結果はあるのですが、実に簡単に言うと「斜度6%までならば、どんな坂でもエアロロードの方が速い」という結論が導き出されたと言う事です。うーん、興味深い結果ですね。
ツールドフランスなどで使われる超級山岳でも平均斜度が8%と言う事を考えたら、普段走っている一般的な道なら、あらゆるシチュエーションにおいてエアロロードの方が「楽」できるって事ですね。
さぁ、それでは本当に「楽」に「速く」走る事ができるのか実際にライドして、SYSTEM SIXで6つの謎を解き明かしてみましょう。
乗り出して一発でわかるのが「伸び」の良さ。いかにもエアロって感じで「ググーン」と加速域から巡航域まで伸びやかに進んで行く、もっとわかりやすく言うと「勝手に進む」感じは、流石エアロロードというところですね。
反面、やはり加速という面ではSUPERSIX EVOに譲るところもありますね。ズッバーンという爆発的な加速というよりも、「グッグッグー」と言う感じでトルクで走り出すような感じ。力強さを感じさせます。
特に下りが超絶に面白い!ハンドリングのキャノンデールらしく、エアロロードとは思えないクイックなハンドリングとディスクブレーキの安心感で思う存分下りのコーナリングを楽しめます。
ただ・・・ちょっと惜しいのはハンドル幅。エアロを追求するが故、ちょっと狭めのハンドル幅設定となっており、ここは慣れるのに時間が掛かるかもしれませんね。
しかし、エアロロードにありがちの「起き上がる挙動」も上手く抑えられており、初めてロードバイクに乗るライダーでも違和感なく乗りこなせるのではないでしょうか。
ちょっとオトクなのがモデルによっては約15万円ほどのPower2Maxパワーメーターが付属しているのもポイント高し!ですね。
実際にパワー計測するには別途5万円の”課金”が必要ですが、パワーメーターが主流になっている昨今ではこんなアッセンブルも面白いですね。
そして、何よりも驚いたのが「とにかく乗り心地がイイ!」
キャノンデールご自慢のサスペンションシステム「SAVE」がエアロロードでもいかんなく威力を発揮。「本当にエアロなの?」と思えるほどに「イイ仕事」してくれています。
「ULTEGRAモデル=8.0kg」、「DURA-ACEモデル=7.6kg」とエアロロードとしてSUPERSIX EVOを彷彿とさせる軽やかさは「確かに6%くらいの坂なら速いよな・・・!」と感じさせてくれるのに十分な説得力がありました。
キャノンデールとしては「The Fastest Bike in the world=地球上で最速のレースバイク」として打ち出していますが、私個人としては快適性と登坂能力を活かした「最高のクルージングバイク」そして「日本のトライアスロンサーキットにフィットするトライアスロンモデル」としてお薦めしたい一台だと感じました。
”シートポスト”、”フレーム”、”ハンドル”、”ステム”、”フォーク”、”ホイール”これら「6」の専用設計システム=「KNOT」を採用した、キャノンデールだからできたキャノンデールらしさが溢れるエアロロードバイク。
あらゆるブランドがエアロロードを発表している中、キャノンデールほどのブランドとしては”後発”に当たるSYSTEM SIXですが、SYSTEM SIXの名に恥じない、名作を予感させる一台に出会えました。
IT企業での経験を活かし、自転車業界では類を見ない、独自の情報管理システムを構築している。
また社員教育も担当し若手スタッフの研修を手がけている。
イベントの得意分野は自身の経験を活かしたパワーメーター講習。
長年マウンテンバイクのレースを走ってきたが、昨年からトライアスロンに挑戦。
オリンピックディスタンスやアイアンマン70.3のレースを中心に出場する。
2011、2012年全日本マウンテンバイククロスカントリー選手権・マスタークラスチャンピオン。