ウルトラトレイル ドゥ モンブランにチャレンジ!
ストラーダのお客様でトレイルランナーの山田さんが、トレイルランのトップイベント「ウルトラ トレイル ドゥ モンブラン」に出場され、見事完走されました!ストラーダからはトレイルラングッズやGPSウォッチ、シューズ、サプリメントをサポートさせていただきました。
UTMB(ウルトラトレイル・デュ・モンブラン)はフランスのシャモニー・モンブランで毎年8月に開催される大会です。コースはモンブランを取り巻くフランス・イタリア・スイスを繋いだ山岳地帯を170km、累積標高10000m走る大会で、世界中のトレイルランナーの憧れでもあります。今回はその大会に参戦してきました!
UTMBのスタートは8月26日18:00。それまでに他の5つのカテゴリーもあるので、8月21日~8月30日まで街中お祭り状態!カテゴリー(日程)はこのような感じです↓
8月22日 PTL(290km)スタート
8月24日 TDS(119km)スタート
8月25日 OCC(55km)スタート
8月26日 CCC(101km)スタート
8月26日 UTMB(170km)スタート
UTMB開催期間中は、世界中から集まった数千人のランナーと、応援やボランティア、街中の人々によりシャモニーの街全体が熱気を帯びています。出店しているブースも多く、物欲に負けそうなのを我慢!!ブース巡りだけで一日かかりそう。川沿いには世界中のウルトラトレイルのブースもあり、説明を聞くだけで半日かかりました。
大会の受付は数日に分けられ、大会当日までされています。山岳レースなので必携品は勿論のこと、厳しい検査も受付時、レース中にもあり、必携品が1つでも不携帯であれば失格になります。今回の必携品含め、装備はこんな感じです。
受付・必携品検査
ドロップバッグは大会当日に預入れ、79km地点のCOURMAYEURにて受け取ることができます。その他、今回エイドは全部で17ヶ所。うち個人的なアシストをすることもできます(サポート可能区間有。マッサージ、ペーサーは禁止など規定は厳しい)
コースは反時計回りに進みます。エイドの距離、標高、関門です。
8km LES HOUCHES(標高1008m 118mD+)
21km SAINT-GERVAIS(標高818m 951mD+ 関門22:00)
31km LES CONTAMINES(標高1153m 1486mD+)
39km LA BALME(標高1703m 2036mD+ 関門02:00)
49km LES CHAPIEUX(標高1554m 2823mD+ 関門05:15)
66km LAC COMBAL(標高1970m 4052mD+ 関門10:00)
75km COL CHECROUIT-MAISON VIEILLE(標高1919m 4520mD+)
79km COURMAYEUR(FORUM SPORTS CENTER)(標高1195m 4520mD+ 関門13:15)
84km REFUGE BERTONE(標高1979m 5336mD+)
91km REFUGE BONATTI(標高2015m 5616mD+)
97km ARNOUVAS(標高1786m 5721mD+ 関門18:15)
110km LA FOULY(標高1600m 6623mD+ 関門22:30)
124km CHAMPEX-LAC(標高1465m 7178mD+ 関門02:30)
141km TRIENT(標高1303m 8073mD+ 関門08:00)
151km VALLORCINE(標高1270m 8922mD+ 関門11:15)
162km LA FLEGERE(標高1863m 9789mD+ 関門14:45)
170km CHAMONIX(標高1035m 9889mD+ 関門16:30)
大会当日
8月26日、朝起床してホテルでの朝食。炭水化物を多めに食べる。現地のスーパー、ホテルのフルーツは安いし美味しい。水も思っていたほど高くはなかったかな。(1.5Lで70円くらい)スタートは18:00なので、少しでも睡眠を取ろうと13:00まで寝ていました。ホテル出発前は日本から持参したアルファ米を3袋(260g×3)食べて、無料バスにてシャモニーへ。
※ ちなみに宿泊場所はアルジャンティエール(現地から8km山側)でしたが、無料バスが早朝から夕方まで30分おきに出ています。夕方以降は2€必要。
ホテルでの朝食。パンメインでハチミツ、バター、kiriが大量にありました。
日本から持参したアルファ米。これが結構美味しくて止みつきに・・・。
スタート数時間前でもスタート地点は賑わっています。UTMBの参加者は2555人で、完走率は5割弱。コースはもちろん、関門もきついですが世界中から猛者達が集まっていて皆完走出来そうな雰囲気。18時のスタートが近づくにつれ会場の熱気は増していく。ダンサーのダンスがあり、ここでまた選手達のテンションが上がっていきます。スタート10秒前、周りの緊張、興奮も最高潮!!そこから秒読みがあるのかと思っていました。しかし秒読みも、スタートの合図もなく気付いたらスタートしていました。
スタートラインにて待機中!(会場で初めての顔合わせお二人)
スタートして8km林道。最初の山(LE DELEVRET 1764m)で後方は渋滞するため、それを回避しようと皆ペースは速い。登りも前方は走っている選手が多く、ペースが乱れそうになってきます。山頂までは思ったよりも早く、そこからは21kmのエイドまで一気に950m下りです。
21kmのエイドを過ぎて日が暮れはじめ、2つ目の(REFUGE DE LA CROIX DU BONHOMME 2439m)まで1600m登ります。この登りで集団がばらけていきます。登りはきついけれど、そのおかげで眠気は出ませんでした。
49km地点のエイドに到着したころには夜中。標高は1554mですが、寒さは着こまないと我慢できないほどでもありません。
そこから66km地点のエイドまでに2500mの山を2つ (COL DE LA SEIGNE 2502m ・ COL DES PYRAMIDES CALCAIRES 2563m)越えていきます。1つ目の山のピークで国が変わります(フランス➝イタリア)。2つ目の山の登りは雪上区間もあり、ここでストックが折れるトラブル。冷静にストックを収納し、雪で滑らない様に進む。山頂に到着し、朝焼けの綺麗さに驚きます。
山頂での絶景とは裏腹に下りは岩石で滑落しやすく、滑落の危険も・・・。前方を走っていた選手も転倒し、ストックを折られていました。
66km地点のエイドまでつづら折れの下りが続き、一晩越えた疲労で転倒しない様に必死。エイドに到着し周りを見渡せば朝焼けの中の絶景!この先は少し平坦な道の後に少し登り、そこから1200mの激下り。下り好きにはたまらないと思います!
絶景ポイントにて撮影していただきました!
79km地点のエイドには応援ツアー、サポートも可能でとても賑わっていて、食事もペンネなどがありました。そしてWi-Fiまで使えることにビックリ!しかしここがリタイア続出のポイントでもあります。理由はここでリタイアすれば、スタート地点のシャモニーまですぐ行けるということ。その先に進んでしまえば、今辿ってきた道より遥かにきついコースになるということ。自分も膝の故障、ストックが使えなくなったということで、ここでリタイアを考えてしまいました。しかし幸運にもテーピングでストックを応急処置できたので先に進むことができました。
ほとんどのエイドにあるスープパスタ。
84km地点のエイドまで一気に登り、そこからは走りやすい道が97km地点のエイドまで13km続く。景色はとても綺麗で、走っていても楽しめる区間。日中は暑いけれど、沢も沢山あるので水分には困りませんでした。
放牧された羊の群れ。
走りやすく、気持ち良い区間!
97km地点を過ぎると、UTMBのコースで最もきつい山(GRAND COL FERRET 2525m)を登る。(イタリア➝スイスへ)延々と続く登りに心折れる選手が沢山出る区間へ。最もきついと言われるのは登りだけでなく、そこから始まる20kmの下りでもあり、1500mもの標高を駆け下るからで、トレイルレースでは下りでの衝撃が内臓にダメージを与えるため、実際にここでの胃腸への負担は凄かったです。
124km地点のエイドに到着するころには二晩目に突入していました。手前4kmくらいから雷雨になるも、寒さは感じず、むしろ気持ち良いくらい。登り区間も地図で見るよりも長く、険しいため雨で涼んでよかったですね。124km地点のエイドでもサポートが可能で、沢山の応援の人たちで賑わっていました。このエイドを過ぎれば、3つ連続で山を越えればゴールで、完走の可能性が見えてきます。
スタートと同時に雨が止みました。登山道に入り、1本目の登りは足場の悪い道を進みます。途中で雨の影響で増水した沢、ぬかるみに苦戦しつつも山頂を目指す。途中でふと空を見上げると、遥か彼方に星が見えて綺麗。でも良く見ると星ではなく、先行者のヘッドライトだと気付いてあまりの遠さに笑いが出てきました。途中で森が開けて牧草地へ。周りは見えませんが、カウベルの音で近くに牛がいることが分かる。ここの大会ではカウベルがよく聞こえるため、ついついエイドと勘違いしてしまう傾向があるようです。LA GIETE(1900m)からの下りは雨でのぬかるみ、木の根が多く転倒者続出。
141km地点のエイドではさすがに眠そうな顔ばかりで、机で伏せて寝ている選手もちらほら。休憩していると眠くなるので、先に進みました。
2本目の山は最初よりは登りやすく、道も歩きやすかったです。後半は眠気がピークになり、日本人の選手と会話しているけれど、全く話が嚙み合わない。いるはずもない場所に知り合いがいたりと幻覚もちらほら。ふらついて滑落の危険性はあるけれど、こんな時でないと幻覚、幻聴は経験できないのでこれもいい経験です!聞けば、「これを経験したい!!」と言われる方も数名おられました(私もその一人ですが・・・。)山頂にて国が変わります(スイス➝フランス)。下りは1本目の山と同じ感じですが、つづら折れが非常に多い。何度折れるのかというくらい折れました。151km地点のエイドに到着するころには夜が明けました。夜中よりも朝が寒いのは日本も同じで放射冷却のせいかな?最後のエイドなので、ここで沢山補給し、最後の山に備えます。
登る前に標識が・・・。
エイドからは川沿いを進みますが、雪解け水が勢いよく流れているので非常に寒い。川沿いでなくなると急に暑くなるのでウェアリングがややこしいです。最後の山(LA TETE AUX VENS 2127m)は登り始めが非常にきつい。段差が一段一段大きいので疲労しきった脚には堪えます。外国人選手は足が長いので速い!!頑張って登って、山頂かと思いきや山頂でないパターンが3回ほどありました。登山の方の声援に後押しされながら、延々と歩きます。ふと左を見ると、最高の絶景!モンブランが見えます。
本当にきつく長い登りですが、この景色は疲れも癒してくれます。山頂からゴールのシャモニーまで10kmの下り。最後のウォーターエイド(162km)手前でいきなり二人組のハイテンションな外国人がUTMBの刺繍が入ったリストバンドを半ば強制的に付けてくれます(大会の運営ではなさそう)長い下りで靴擦れが痛すぎて走れずほぼほぼ歩きに。トレイルを終えて、シャモニーの街中へ入ると沢山の声援に迎えられます。「アレ!アレ!!アレ!!!」や「ブラボーーーーー!!」、「ジャポネ!!ガンバレ!!」など、子供から大人まで大声援!!ここに戻ってくるまでに過酷でリタイアを考えたり、実際に帰ってこられなかった選手も沢山います。しかしその過酷さゆえに帰ってこれた時の声援に涙が溢れてきました。他の選手も同じだったそうで・・・。最後の下りは激痛で何度も立ち止まっていましたが、最後の最後は不思議と走って笑って(涙目)ゴール出来ました。
ゴール後はすぐにエイドがあり、そこで初めてサラミ、チーズを堪能するまで食べさせてくれました(笑)。
ゴール後は疲れすぎて立ったままお休みなさい。。。
今大会での行動食は、塩熱タブレット(パウチに入れて)、CCDジェル6本、スポーツようかん5本、マグオンジェル12本、マグオンパウダー8袋。ジェルはSalmonの500mlフラスクに混ぜて。ドロップバッグにアルファ米2袋、柿の種6袋入れましたが、これは食べず。
さすがに完全にジェルのみだと100個は必要になるので、エイドにて補給。
エイドは場所によって変わりますが、生ハム、チーズ、サラミ、リンゴ、バナナ、オレンジ、クッキー(チョコチップ)、クラッカー、スポンジケーキ、チョコレート、スープパスタ、ペンネ(チーズ・トマトソース)、パン、エナジーバー、シリアル、プルーン等が置いています。ドリンクは炭酸水、コーラ、水、コーヒー、紅茶?、スポーツドリンク、ビール!!?があり、食欲に負けそうに・・・。しかし、さすがに170kmで下りもきついので、胃腸への負担を考慮して脂物(チーズ、サラミ)は避け、スープパスタ、フルーツ、ペンネのみの補給としました。
今回の大会は勿論ですが、トレイルランニングの大会は本当に過酷です。でも、過酷だからこそレース中の声援は励みになります。沿道の子供達がタッチを求めて来たら、喜んでハイタッチします。ゼッケンに国籍、名前が書かれていますが、わざわざ名前で呼んでくれる方々も沢山おられました。選手同士では順位も競うけれど、辛い場面では競い合っている選手同士が声を掛け合い、励まし合う光景をよく見かけます。私も実際に辛い場面では、何度も他の選手に励まされ背中を押してもらいました。こちらから声をかけさせて頂いたこともあります。応援やボランティアだけでなく選手同士でも健闘を称えあえる、仲間になれる。そこがトレイルランニングの醍醐味、魅力ではないだろうかと思います。(もちろん景色も最高です!!)
レースまでも沢山の人たちにお世話になりました。職場まで足を運んでエールを頂いたり、SNSで連絡をして励まして頂いたり、アドバイスを頂いたり、壮行会をして頂いたり。STRADAさんにはマグオンジェル、パウダーや、アパレル、SUNNTO AMBIT3 PEAKなどをサポートしていただきました。本当に沢山の方々に応援、サポートして頂けたから辛い場面でも頑張れたのだと思います。「きついけど楽しい!トレイルランニング最高!!」そう思わせてくれたのが今回のUTMBでした。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。