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レース注目のレポート

ひわさうみがめトライアスロンに参戦してきました!【スタッフ山本レポート】

2回目となる51.5、オリンピックディスタンスの大会として参加した「ひわさうみがめトライアスロン」
徳島県の南、美波町で開催される大会の特徴は何よりも「美しい海」と「ヒルクライムのようなバイクパート」。

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大会前日、選手受付の際に下見した浜辺はウミガメもやってくる程の美しい海。

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そんな美しい海も、トライアスロン初心者の私にとっては悪魔のような牙を持つ嵐の海・・・
日和佐の海は非常に波が高く、人によっては「波酔い」してしまう人も居るという、知ってはいけない情報も入手しつつ、最寄りのお宿へ。

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遠征の楽しみでもあるお宿は、会場近くの山あいにある温泉。
ダム湖の畔でゆったりと穏やかな時間を過ごせるのも遠征旅行ならではですね。

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さぁ!大会当日。雨予報を覆し、晴天に恵まれましたが湿度が高く、とっても蒸し暑い。

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試泳時間となりましたが、余り早くからウェットを着るとそれだけで熱中症になってしまう程の蒸し暑さ・・・

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ゆーっりと下半身から上半身を少しずつ水の冷たさに慣れさせて、ゆーっくりと深く長い呼吸で泳ぎだす。
一旦、心拍が上昇しますが、しばらくすると呼吸が落ち着きだす。OK、いつものようなパニックにはならない感じで試泳終了。

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今回の目標は「経験値を上げる事」あくまでも成績ではなく、今後のレース展開の糧になるように各パートのパワーマネジメントを行いながら完走を目指します。
その為、本来ならば後方からスタートするスイムですが、真ん中中央の位置でちょっとだけ挑戦してスタートします。

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さぁ、午前9時、いよいよスタート!

当たり前のようにバトルが展開されますが、落ち着いて自分のペースを刻みつつ、周りに負けないように位置取りをして進みます。
やはり経験の差か、今、自分がどこらへんの位置に居て、どこに向かって進むべきかが全くわからなくなります。
気が付けば右へ左へ蛇行を繰り返し・・・ヘッドアップするも波が高くてブイが見えない・・・

これも経験と考えつつ、少しづつ距離を刻みます。
スタート地点ではベタ凪ぎだった波も、沖へ進むにつれて高くなり、上下左右に身体が揺さぶられます。

「ここで波酔いしたら、またトラウマが増えてしまう・・・」
そう考えると「速く泳ぐ」事よりも「酔わずにとりあえずスイムを終える」と言う事を意識してしまい、結果的にどんどん後ろへ後退・・・うーん、これも経験か・・・

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淡々とペースを上げる事もなく、32分、総合順位242位でスイムアップ。

焦る心と疲労した身体を鎮めつつ、トランジットを行いバイクパートへ。
噂によると相当な高低差があるコースと聞いていましたが、簡単に言うと伊吹山ヒルクライムのコースにそっくり!(笑)

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スイムパートの遅れによる焦りから、ブリブリブリブリとアウターをごりごり踏んでとにかく前の選手を追い抜きます。
ランパートを考えるとインナーでクルクル回転を意識して、疲労を溜めずに順位を上げていくのがベストですが、そんな事を言ってられない位置なので、ゴリゴリ踏んでいく。

但し、出し切るのではなく、次のランも考えながら。
自分のパワーの限界を元に1時間弱をホドホドの力でホドホドに出し切るペースを刻む。
やはり、こういうパワーマネジメントにおいてはパワーメーターがものすごく大きな味方になります。
前のライダーを見据えつつ、パワーメーターがはじき出す出力値を凝視し、上げ過ぎないパワーで先を目指します。

アッと言う間に往路折り返し、そしてコース後半まで来た所で両脚が痙攣しかける・・・
あまりの暑さと、やはり焦りによる重いギアの多用により、予想以上の負担が両脚に掛かってしまった模様。
「この後、ランがあるのに・・・」
この時点で総合24位まで上げる事ができましたが、不安を抱えながら、バイクパートが終了。

さぁ、最後の10kmラン!

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いつもの通勤ランで踏んでいる距離なので、距離に対する不安はありませんが、バイクでヘタりきった脚で挑む10kmは意味合いが大きく異なります。
スタート直後、やはりいきなり両脚の太腿部分が痙攣し出します。

バイクで追い越した選手が、軽々と追い抜いて行く。
為す術もなく続々と追い抜かれていきますが、ここで焦ってペースを上げず、とにかくゆっくりでも走り切る。
前回、セントレアで経験した「歩いたら負け」と言う事だけを考え、どんなに止まりそうなペースでも走りを辞めずに走り切る。

時刻は12時を過ぎ、気温は最高潮に。
止まっているだけでもクラクラする状態ですが、こんな状況で背中を押してくれるのが、ボランティアの皆さんのエイドステーション。

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水を被り、氷を太腿に挟んで、スポンジを背中に入れる。
朦朧とする意識を、進もうという意志に変えてくれました。きっとこの存在が無ければレースを諦めていたかもしれません。

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残り2km、どれだけの選手に抜かれただろうか?
もう、その記憶すら曖昧になってきた時に見えたゴールゲート。
「あと少し!」
「ナイスラン!」
ゴール付近、本当に本当に大勢の観客の方が熱い言葉で背中を押してくれます。

「ああ、やっと終わる」

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そう思い、ゴールゲートをくぐりました。結果、2時間41分、エイジクラス16位。

ゴールの後は呼吸が定まらず、とにかく苦しくて苦しくて・・・けれど、自然に浮かんでくる思いは
「ああ、もう終わってしまった」

こうすれば良かった、あそこでああすれば良かった。
そんな反省が出てくるのもトライアスロンの面白さ。
反省点は逆に伸びしろでありその課題に向けて、どうやって取り組んで乗り越えて行くのか?

大げさかもしれないが、人間が生きていく上での「より向上しようとする欲求」というものがトライアスロンには凝縮されている。
だからこそ、これだけ多くのアスリートが魅了され、これだけ多くのサポーターが背中を押してくれるのでは無いか、そう感じた51.5kmの旅でした。

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