注目のレポート
京都店:サロモン・トレイルラングッズ・インプレッション最終回
みなさんこんにちは。P川です。
今年は春が遅い!と思ってたら一気に春がやってきました。京都では桜がパッと咲いてパッと散り、トレイルでは木々に若芽が鮮烈に芽吹き、ヤマツツジが咲き誇る季節。そして「第6回京都トレイルラン2014春(東山コース)」の本番がついにやってきた。
4月19日仏滅の土曜日。天候は晴れ、気温はやや低めだが寒いほどではない。8時40分のスタートに備え、1時間前に山科の毘沙門堂に向かうと人人人。500人の定員に対し、たぶんそのくらいは集まっててるんでは?てな感じ。しかしあの狭い一部断崖絶壁のトレイルを全員が走ると、中にはコースからこぼれ落ちる人もいるんではなかろうか...と不安なP川。「京都におけるトレラン部門で業界No.1」を目指す井上シャチョーの野望、「機材を提供したんだから恥ずかしいマネはしたらアカンで」という現実的な警告。これらを受け、なんだか落ち着かない気持ちでスタートラインに並ぶ。周囲はいかにも爽やかアスリート風から、山登り大好きおばサマ達のグループ、両手に伸縮自在の杖を持ったマタギというかハンターのようなオジさんなど、老若男女が大集合する町内の運動会のような雰囲気。これだけ見ても、トレランの参加者がいかに多様性に富み、同時に一般的に認知されていることが想像できる。
号砲が鳴り響き、定刻にスタート。コースはここ山科の毘沙門堂から静原までの30km。当初は東山の蹴上から鞍馬まで35kmだったのが、自治体や警察との調整の結果変更&短縮。トレランが現在置かれている立場がなんとなく透けて見えるようなコース変更。思えば、長らくハイカーの独壇場だったトレイルがMTB、さらにトレイルランナーによって徐々に騒がしくなりつつある今日この頃。狭いトレイルはみんなでマナーを守りつつシェアすることが求められます、ハイ。
スタートはグループごとに分かれて行われるため、50人程度の集団で走り出す。が、いかんせん初参加で30km走もまったくの初体験。ペースが読めず普段の練習ペースそのままに走り続けると、新発見。そう、ここで見たのは、「トレランでは登りは歩く」という掟。見た目速そうな(実際速い)人達も、登りがキツくなると歩きモードに。「登りは追い越しのチャンス」とばかりに勝手に気合いを入れるビギナーP川にとって、新鮮な驚き。「ま、先も長いし体力も無尽蔵ではないので真似しよっと」。しかし、結果的にはこの同調というか迎合が、後半になってえらいダメージを体に与えることになるのである。
順調に大文字山を越え一気に下って銀閣寺。ここからの街中はウォーキング区間で、追い越しも禁止という徹底ぶり。とはいえ、皆さん〝競歩〟状態でしたがね(笑)。ここから比叡山までのルートも「勝手知ったる...」練習で何度も走ったルート。しかしなぜか体が重い。「ん?」と体調の変化を感じつつ、原因を考えると思い当たったのは「オーバーペース」。そう、登りを歩きでクリアすると思いのほか足が軽く、下りで知らず知らず速度オーバー。また軽い登りではついつい追い抜きに快感を覚え、速度オーバー。要はこんないい加減なペースで30kmを完走できるほど、トレランは甘くないってコトですわ。
奥比叡ドライブウェイと並走し、ほぼ〝よじ登り〟状態の横高山(767m)、水井山(794m)の2つのピークを越えると足は完全に「売り切れ」。しかも腿とふくらはぎがダブルでつるという非常事態。こうなると下りでも動けない。だましだまし歩いたり止まったりを繰り返しつつ仰木峠から一気に標高を下げると、時折「ガサッ、ガサッ」と獣が襲ってくるような音と共に後続のランナーが落ちて、いや降りてくる。いつぞやNHKで見たタラフマラ族(ウィキペディア参照)を思い出す。
ようやく最後の江文峠を越え、田園地帯を抜けるとゴールの静原神社。足は痛いわ、チェックポイントで摂りすぎた塩分でノドは乾くわほうほうの体でゴール。目標の4時間はなんとかクリア。あーよかった。
さて初めてのトレイルランニング、総括すると以下の通り。
[よかったこと]
○変化の多いトレイルは飽きがこない
○登りはMTBとそれほど変わらないスピードで走れる(驚)
○下りのコース取りはスリル満点!
○道具に頼らず自分の足だけで走り抜けた達成感
○自然との一体感
[しんどかったこと]
○リタイアするにも途中に公共交通機関がほぼ存在しない心細さ
○コースがアタマに入ってないとミスコースの誘惑がいっぱい
○下りで集中力を欠くと一気に吹っ飛ぶリスク(目の前でお一人様ぶっ飛び)
○2日後に激しく襲ってくる筋肉痛
いずれにせよ、初めてのトレランはいろんな意味で好奇心とチャレンジ精神を呼び起こしてくれました。自分のペースを貫徹できるので、ランニングが得意な方でもそうでない方でも、山が好きならぜひ一度はトレランに。そうそう、トレランでは副次的な効果として姿勢維持による体幹の強化と、股関節の柔軟性が身に付きます。しかもロードに比べてスピードが遅くても運動量が多いせいか、筋肉量も基礎代謝も上昇。なにより走ってて退屈しない!
来年は「チームストラーダ」として大勢で参加して、トレイルをオレンジ色のジャージで染めてみたいなあ。
では皆さま、ごきげんよう。
細川公志さん
○大阪で広告代理店を経営する敏腕企業オーナー。企業経営するかたわら、少ない時間を利用しレースとトレーニングに取り組むアラフォービジネスマンアスリート。シクロクロスのマスタークラス、マウンテンバイク、マラソンなどのホビーレースで優勝&表彰台に上ること数知れず。ストラーダ井上とは前職で電機メーカー営業マンとして東北・北海道地域を同時期に過ごした。井上より1年早く会社を辞め、広告代理店社長として転身。今年よりトレイルランニングに取り組む。ニックネーム「P川」「シャッチョー」