STRADABICYCLES -ストラーダバイシクルズ-

ツアーツーリングフォト&ライド注目のレポート

キャノンデールSLATEで行く嶺南・湖北の旧街道フォトライド〜非日常の旅<1日目>〜

「完全プライベートで旧街道や歴史の道、廃墟の旅に連れて行って欲しい・・・・非日常の旅を味わいたい」ひと月ほど前、ストラーダバイシクルズのオーナー井上の元に一通のメールが届きました。差出人は有名バイクメーカーの方。

非日常の旅・・・・。

忙しさを極める現代社会、それは誰しもが憧れるものだろうと思います。日頃楽しいアイテムであるスポーツバイシクルを販売している私どもとてそれは同じこと。いつも自転車に触れているから楽しい、いつも自転車に乗れているんだから毎日楽しいんじゃ・・・いえいえ、、、あくまで仕事。日常の仕事なのでオフタイムには自分のためだけのライディングをしてみたい。そんな欲求に駆られることがあります。それはバイクメーカーとて同じことで、日常の仕事はあくまで仕事。

そんな彼らからご期待いただけるのなら光栄なこと・・・ということでガイドを快諾。

ストラーダ井上のライフワークでもある「旧街道の旅」に「隠れ里」「廃墟」そして「心温まる宿」というエッセンスを加え、井上の趣味でもある「フォトライド」に仕立てた非日常の旅を行なってきました。

(フォトレポート形式なので写真が多めです)

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今回ライドに使ったのは、そう、キャノンデールのアドベンチャーロード「SLATE」。ロードバイクにLEFTYサスペンションが搭載された、全身から「キャノンデール」のオーラーを漂わせるスペシャルなバイクです。道を選ぶことなどないこのバイク、旅のお供としては「最強」です。・・・・そう、お察しの通り有名メーカーの社員の方とはキャノンデールジャパンの方々です。

 

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今回は「非日常の旅」という意図がありましたので、目的地やコースの詳細はほとんどお知らせしないまま出発しました。まるでミステリーツアー。仕事を離れて思いっきり楽しむ・・・。今まで続けてきたシリアスなレースとは全く別の世界・・・。それも未知の旅・・・。ワクワクして当たり前ですよね。皆さんのお顔からそれが伺えます。

集合はJR余呉駅。天女の羽衣伝説で有名な余呉湖のほとりにある単線の小さな駅です。

 

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単線で休日の乗車ということで予想通り空き席の多い車両。車掌さんに声がけをしてからバイクを置かせてもらいました。できる限り早朝の時間帯で、多人数の場合は車両を分けて乗り込むのがマナー。

 

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自転車の旅なのになんだか遠足みたい。ボックス席で話が弾みます。今から始まる旅への期待でしょうか。

 

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降り立ったのは福井県のJR今庄駅。ここで初日のルートを説明します。「旧北陸道」を進み途中から「旧北国街道」を行きます。道中は過去勉強してきた旧街道の楽しみ方をお話ししつつ。「えぇ〜っ?そんなところ走るの?」「22kmの下り坂?」「ウダツが上がるの卯建って?」「こりゃエピックなライドになるぞ!」皆さんの口から歓喜と不安に満ちた言葉が(笑)

言い忘れていました、今回は走行距離でもない、スピードでもない、ケイデンスでもない、パワーでもない、そんなデータに囚われない走行になります。

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旧街道なので宿場町はつきもの。街道の成り立ちやそこに存在した旅籠や問屋場、本陣などを案内していきます。そして当時の宿場に関わった人たちや旅人たちのことを思い浮かべながら走っていきます。これらがないと旧街道を走っても単なる生活道としてしか捉えられず楽しみは半減どころかほぼ皆無になります。ところがこれらを知って走ると、その生活道が一変し、とても興味深い道になるのです。

 

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秋ですね。柿が熟していました。トレーニングライドのように飛ばして走っていたらこれらの情景も見落としてしまうでしょう。ゆっくりでも飽きない走り方・・・そんなのがあるのです。

さて旅は旧北陸道をゆっくりと登っていきます。たわいもないことを喋りながら息が切れない程度に走っていきます。

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長い上り坂を登り詰めると突然目の前が開けます。「今庄365スキー場」です。旧北陸道はなんとこのスキー場の中を通っているのです。スキー場のゲレンデの横に往時を忍ばせる野仏や石畳が残されています。ちょっとびっくりですね。入り口で休憩していると歩いて降りてきた旅人に出会いました。ゲレンデ横の旧道は雨で歩けなくなっているとのこと。しからばとゲレンデの舗装路を行くことにしました・・・かなりの斜度です。一人喜んでいる元プロライダーがいますが・・・。

 

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スキー場の車も苦しそうに登っています。そこを登る。ちょっとトレーニング的要素も入れますか(笑)

 

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舗装路を終えると旧北陸道そのものを行くことに。マナーを守って全員押しです。ライドなのにウォーキング?旧街道にはこれがつきものです。でも誰も嫌そうな人はいません。昔の旅人の気持ちを思い浮かべながら歩いていきます。

 

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ゲレンデの横の石畳を歩き続けると突然現れる雰囲気のある藁葺き屋根。「言うな地蔵」です。詳しくは調べていただきたいですが、昔話に出てくる有名なお地蔵様。旧道の雰囲気を掻き立ててくれます。

 

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本日ひとつ目のハイライトがこの「木ノ芽峠」。ゲレンデの頂点になんと茅葺屋根の人家があるのです。西暦830年まで遡るこの峠。江戸時代からこの峠を守る「前川家」の方がお住いなのです。3匹の犬たちがお迎えしてくれました。かなり吠えられましたが・・・・。

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木ノ芽峠を押して下って行くと「休み石」と言う昔の旅人が腰をかけて休んだ石が。そこで林業の人と出会い旅話に・・・。「この人は元プロライダーなんですよ」と言うと保線路を走らせてくれました。カズさんは日本一のSLATE使いですね!

 

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秋深まる古道・・・・。

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苔むした山の中の旧街道を下り切ると景色は一変して国道476号線。長い長いトンネルを抜けると、道は変わって旧北国街道に出ます。茅葺屋根の集落を再現した「板取宿」ここも旅気分を盛り上げてくれる静かな場所。

 

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石畳にLEFTYフォークを備えたSLATEなら楽々登ってくれますね。ここでしばらくフォトセッション。カズさんに何度も往復願いました。ワイワイ言いながらの撮影も最高に楽しいです。

 

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板取宿の後は旧北国街道の国境「栃ノ木峠」を越えて一気に余呉湖へ向けてダウンヒル。なんと22キロもの間、ほぼ直線道路を下り続ける珍しい道です。平坦路まで降りると国道との併合を抜けて地元の集落に。そして目の前に現れたのがこの「余呉湖」琵琶湖はあまりに有名ですが、琵琶湖の周りにもこうした小さな湖が点在しているのです。その中の余呉湖は他の内湖(琵琶湖に接する小さな水たまり)とは違い三方を山で囲まれた独立した湖。秋の爽やかな空に日差しが映えています。

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「ビワイチ」ならぬ「ヨゴイチ」をした後はみんなで自転車談義。完全プライベートとは言いながらも自然と仕事の話題に・・・・。それだけ真剣ということ。素晴らしい。

 

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そして本日の旅は終わり。木之本の隠れ里にある茅葺屋根の庵に投宿。着いてすぐにビール。旨い!!最高に旨い!!

 

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ひっそりとした静かな山里にある宿。地元の素朴な食材が並びます。イタドリ、茗荷、土筆、鹿肉のルイベ、熊肉の鍋、鱒の竹蒸し、口直しにイチジク・・・・。宿の人たちの暖かいお声がけ。お酒が進みます。270年も続く古い宿で美味しい食事。非日常の旅は大人旅でもあるのです。明日はどんな旅が 待っているのでしょうか?案内させていただく方も楽しみです!

2日目に続く・・・。

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