TREK MADONE SLR DISC 組み立て![スタッフ熊谷]
こんにちは!
スタッフ熊谷です。
今回は全スタッフに先駆けて、先日デビューしたばかりのTREKの新型エアロロード、「MADONE SLR DISC」の組立を行いました!
このバイクは最速のエアロロードと呼ぶにふさわしいバイクで、あらゆる空力性能を突き詰めたバイクです。
エアロロードの常として、空力性能が向上すればするほど内部構造は複雑になり、メカニックの顔が渋くなっていくのですが(笑)、はたして新型MADONEはいかに。
はい。
いきなりきました。
エアロの要となる、フレーム前方のヘッド周りです。
今回は機械式変速+油圧ブレーキですので、シフトワイヤー2本と、油圧ホース2本、計4本のチューブが内蔵されます。
昨今のエアロロードの弱点として、ハンドルの最大切れ角が小さくなりがちなことが挙げられます。
しかしMADONEはステアリングコラムに全てのチューブを添わせることで無理な抵抗が掛からない様になっており、左右それぞれ70°~80°ぐらいの広い切れ角を実現しています。
これにより今までは難しかった、コンパクトカーへの車載や輪行といった、日常ユースの幅に広がりが出ており、我々一般のライダーが大きな恩恵を受けれるようになっています。
また最大切れ角ではストッパーが機能しますので、フレームや各種パーツへの負担が軽減されているのも大きな進化ですね。
こうしてフレームから飛び出た4本のチューブは、専用のコラムスペーサを抜け、ステム内部へ入ります。
ここから先は専用設計のエアロハンドルへ内蔵する為、小さな出口から4本すべてのチューブが出てきます。
なにかサイボーグのようなものを思わせる風体で、これだけでも画になるのが面白いところですね。
そして専用ハンドルの後方に開いた穴から、すべてのチューブを内装します。
これにより、まったく露出することなくSTIレバーまで到達し、最大限のエアロを発揮します。
また今作より専用ハンドルがステムとハンドルで別体になりました。
これによりMADONE 9 の一体ハンドルでは出来なかった、ハンドルをしゃくる、送るといった細かいポジション調整が可能になっています。
また別体になったメリットとして、ステムの長さ、角度を購入後に変更できるのも大きなポイントであると言えるでしょう。
ついにSTIレバーまで到達!
しかしこれでは終わりません。
内装する為に油圧ホースも含めすべてのチューブが接続されていない状態です。
また、Di2のエレクトリックケーブルと違い、余ったらフレームに詰めて処理したりできないので、完璧に長さを決めてしまわなければいけません。
長さが少しでも長いと、カーブ部分でチューブの曲がりがきつくなって抵抗になってしまいますし、短すぎればもちろん接続すらできません。
そういう意味では、チューブの曲がり具合にあまり影響されない油圧ブレーキシステムをエアロロードが積極的に採用するのは、最大限の能力を発揮する為には当然の進化と言えそうですね。
なので実のところ、新型MADONEの組み立ては油圧ブレーキモデルよりリムブレーキモデルの方が難しいと言えるでしょう。
ここから先は通常の油圧ブレーキコンポと同じ手順ですので、問題なく組みたてました。
しっかりオイルを通し、エアーを抜きます。
グレードや年式によってこの手順が細かく変わるので、シマノの油圧と言ってもたくさんの組立方法が存在します。
今回は機械式油圧ULTEGRAになるので、型番はR8020となりこれに最適な方法でブレーキをセッティングします。
ここまでくればあともう一息。
フロントブレーキはフォークコラムより内蔵し、フォークに取付しますので、残った前後変速、後ろブレーキのチューブをそれぞれの場所に持っていきます。
新型MADONEはダウンチューブ中央のコントロールセンターで1度前後変速はアウターワイヤーを切り離し中継します。
またブレーキホースの暴れを防ぐため、ホースもしっかりコントロールセンターに固定しておきます。
Di2仕様の場合はここにビルトインバッテリーを取り付けるので、低重心化が期待できそうですね。
駆動周りが一段落したところで、今度はフレームを見ていきます。
これがTREKが誇る最先端の振動吸収システム、IsoSpeedの核となる部分です。
シートチューブにL字のチューブを用いる事で、他社のエアロロードと比較にならないほどの振動吸収性を持たせています。
また新型MADONEより、エンデュランスロードのDOMANE SLRと同様のスライダー機構を採用したことにより、しなり具合を調整できるようになりました。
これによりシリアスライダーからホビーライダーまで、全てのライダーが満足できる乗り心地を実現しています。
スライダーを最後端に動かせば、かっちりした乗り味に。
最先端にもっていけば滑らかな乗り味に調整が可能です。
路面状況、レース・ロングライド、体重・体格、登り・平坦。
どんな要素を持ち出しても、IsoSpeedが対応できないシチュエーションは存在しないでしょう。
またハンドル周りもMADONE9より進化しています。
先程は内部構造にフォーカスしましたが、次は外部の構造を。
前作に比べ、”段差”と”隙間”が大きく減っているのがわかります。
これによりスムーズなエアフローとクリーンなルックスを実現し、見るだけでも早いと感じるバイクに進化しています。
そして前作と一緒に見えるシートポストも大きく進化しました。
シートポストを固定するウェッジは内装され、一体感を醸し出しています。
もちろん細かな高さ、サドル前後位置、角度は変わらず調整が可能です。
そして大きく変わったのが、リアライトの取り付け方法。
MADONE 9 でも、BONTRAGER製の高性能リアライトがスマートに取付できましたが、今作ではさらに進化。
これが・・・
こうなります。
現在発売されているFLARE RT、R、Cityには対応しませんが、ここに完璧にフィットするリアライトが展開予定です。
TREK公式ホームページのMADONEの項目でも、チラ見できますので、是非チェックしてみてください。
長くなりましたが、新型MADONE、これにて完成です。
このバイクは試乗車として展開していますので、ぜひこの凄さを店頭でご体感ください!